下水道のしくみ





下水道は、大きく分けると、次のような仕組みとなっています。

 下水道の建設や維持管理には、土木、建築のほか、電気、機械、衛生(水質)などのあらゆる科学分野の技術が生かされ、また、多種多様な施設や設備が使用されています。
 下水を集めて浄化センター(終末処理場)まで運ぶ方法には、分流式と呼ばれる方法と、合流式と呼ばれる方法の二つがあります。留萌市は分流式の方法で浄化センター(終末処理場)まで運んでいます。
 また、下水を浄化センターまで運ぶ方法は、少しでも経費が安くなるように、なるべく機械の力(ポンプ)によらないで、高い方から低い方に、自然の流れ(自然流下)を利用して運びます。
 このようなことから、下水道管は、下流に行くに従って、だんだん地表からの深さ(埋設深)が深くなりますが、あまり深くなると工事や管理が大変になりますから、途中でポンプで汲み上げて、あまり深くならないようにしています。
 下水道施設や下水の処理方法などについて、以下のとおりわかりやすく解説しています。

1.

排 水 設 備

 

 排水設備は、下水が浄化センターまで旅する出発点で、さらに台所、風呂場、洗面所、洗い場、水洗便所などの排水口が下水の源流となります。この設備は、個人(土地所有者、住んでいる個人や企業など)が、敷地内に設けるものです。また、これらの維持管理も個人が行います。

 下水道(公共下水道)の工事が完了し、下水道が使えるようになりますと、上下水道課から各家庭などに、その旨の連絡やPRなどが行われ、排水設備を留萌市が指定した公共ますに接続することになります。この排水設備の工事にあたっては、留萌市が指定する指定工事店で施工していただきます。
 市に排水設備設置の計画確認申請を行う必要があります。そして、工事完了後の検査の結果、合格となれば、工事検査済証が発行されますので、使用開始の届出を行います。これで、いよいよ下水道が使用できます。
 もちろん、便所も水洗便所に改造することになります。この下水道への接続は、下水道が使えるようになって(供用開始の公示)から3年以内に行わなければならないことが法律(下水道法第11条の3第1項)で定められておりますのでご注意願います。
 なお、これらの手続きなどの詳細や工事の助成金などについては、このホームページ「水洗化工事・排水設備工事」でお調べいただくか、指定工事店か都市環境部上下水道課下水道係にお尋ね下さい。

(1)

 汚水の排水設備

 

 排水口から流れ出た汚水は、概ね、次のような排水設備の経路を通って下水道管に流れ込みます。

排水口  トラップ  排水枝管  汚水ます  排水本管  汚水ます
 公共汚水ます  取付管  下水道管(汚水管)  浄化センター(終末処理場)へ

(2)

 雨水の排水設備

 

 雨どいからの雨水や庭に降った雨は、次のような経路を経て河川等の公共用水域に放流されます。

雨水  雨水ます  排水枝管  雨水ます  道路側溝  公共水域

(3)

 除害施設

 

 工場や事業場(飲食店、ガソリンスタンドなど)から流される汚水(工場排水)には、下水処理場で取り除くことができない有害物質(水銀、シアンなど)や下水道管を損傷させたり、詰まらせたりする恐れのある酸性廃水、揮発性物質などが含まれている場合があります。
 このような物質などを含んだ工場排水は、下水道管に流す前に工場や事業場において取り除くように法律(下水道法)や条例で義務付けられています。この有害物質などを取り除くために工場や事業場で設置する処理施設を「除害施設」といいます。除害施設の設置の有無などについては、都市環境部上下水道課下水道係にご相談下さい。

 このように、排水設備は、下水道を快適に使うための重要な設備です。

2.

下 水 道 管

 

 下水道管には、下水を点検したり、清掃することなどができるように、管きょのほかに、公共ます、取付け管、マンホールなどが設けられますが、これらを総称して管路施設といいます。

(1)

 公共ます及び取付け管

 

 公共ますには、汚水ますと雨水ますがあります。公共ますは、家庭や工場などから流される下水を最初に公共下水道に受け入れるもので、点検や清掃のために設けます。この公共ますと管きょを結ぶものが取付け管です。

(2)

 管きょ及びマンホール

 

 管きょには、円形、矩(く)形、馬蹄(てい)形、卵形などの形をしたものがあります。管きょの大きさは、直径10cm程度の小さなものから、地下鉄が走れるような直径5m以上の大きなものまであります。一般に、管きょの大きさは、上流ほど小さく、下流に行くほど大きくなります。
 また、管きょの材質は、鉄筋コンクリート製、合成樹脂製、セラミック製、鋳鉄製、レジンコンクリート製などで、交通量、土質条件、下水の性状などによって使い分けられています。
 平成22年3月末現在、留萌市に埋設されている下水道管は、110kmにも達しています。これは、留萌市から遠別町間の距離にあたります。

 管きょを埋めて行く方法には、次のような方法があります。

  1)

 開削工法

 

地表面から溝を掘って管きょを埋めて行く方法です。

  2)

 推進工法

 

モグラのように、機械によって地中に管きょを押し込んで行く方法です。

  3)

 シールド工法

 

 管きょを押し込む代わりに、地中にトンネルを掘り、セグメントと呼ばれる弧状のブロックをリング状につなぎ合わせ、それを、さらに縦方向につないで管路とする方法です。以前は、開削工法で管きょを地中に埋めて行くことがほとんどでしたが、近年は、道路の通行止めをしなくても済む推進工法やシールド工法が多く採用されています。
 また、管きょを点検したり、清掃したりするため、30〜100m程度の間隔でマンホールが設置されています。


 マンホールの蓋(ふた)は、鋳鉄製のものが多く用いられております。道路を歩いていると、よく目にすることができ、その道路の下に下水道管が埋められていることを教えてくれます。最近では、街並みに合せたカラフルなデザインのものが採用されていますが、あまり目に見えない下水道の貴重な「顔」となっています。

 留萌市下水道マンホールデザイン製作者 名工木彫り師 故大野 静峰 氏

 留萌市の下水道マンホール図柄の由来は、冬は世界三大波涛の一つに数えられ、夏は夕陽の名所として知られている黄金岬をイメージして制作。

 留萌市の下水道マンホール蓋
    
                        ・  波     ⇒ 黄金岬の波涛。  

                        ・  落日   ⇒ 日本一の落陽。

                        ・  いかり  ⇒ 重要港湾留萌港。
                  
                        ・  かもめ  ⇒ 大漁(たいりょう)。

3.ポンプ場



 ポンプ場には、大きなものから小さなものまでありますが、一般にポンプ場は、上の図のようになっています。
 下水道管を地中に深く埋めることになると、下水処理場も地中深く造らなければならなくなり、費用が高くなるばかりでなく、点検や清掃、運転などが困難になります。また、雨水を公共用水域に放流できなくなります。このため、下水道管がある程度の深さになったときや下水を山越えや川越えで送らなければならないときなどには、ポンプにより下水を高い所まで上げます。このポンプを設置している建物などをポンプ場といいます。
 ポンプ場には、下水道管の途中のところどころに設ける中継ポンプ場、下水処理場内に設ける処理場内ポンプ場、雨水を公共用水域に放流するために設ける排水ポンプ場などがあります。また、汚水をくみ上げるポンプは汚水ポンプと呼び、雨水をくみ上げるポンプは雨水ポンプと呼んでいます。
分流式下水道の場合、下水道管から流入する下水は、汚水のみか、雨水のみとなりますので、汚水ポンプ場又は雨水ポンプ場と呼びます。
 ポンプが破損などしないように、スクリーンでは下水中の大きなゴミを取り、沈砂池では下水中の土砂を取り除きます。ただし、小さなポンプ場には、一般に沈砂池は設けられていません。
 なお、留萌市は建設費の安いマンホール内にポンプを設置しているポンプ場が4ヶ所あります。

4.

浄化センター(終末処理場)

 

 浄化センターは、下水を元のきれいな水にするところです。わが国のほとんどの下水処理場では、目に見えないような小さな生き物(微生物)の働きを利用して下水を処理(生物処理)し、きれいな水によみがえらせています。
 河川などでは、石などに付着した微生物が水中の汚れ(有機物)を分解して、きれいにしています。これが自然界の自浄作用です。この微生物が活発に活動するためには、水中に酸素が多くなくてはなりません。このように酸素を必要とする微生物を好気性微生物といいます。
 少し専門的になりますが、この好気性微生物の働きを利用して下水を 浄化する方法を好気性生物処理といい、好気性微生物を水中に浮遊させた状態で用いる方法と砕石や板などに付着させた状態で用いる方法があります。

 

1)

 好気性微生物を水中に浮遊させた状態で用いて処理する方法(浮遊生物法)は、活性汚泥法と酸化池に大別されますが、さらに、活性汚泥法には、次のような方法があります。

    @ 標準活性汚泥法(留萌市浄化センターはこの処理法で処理しています。)
    A 酸素活性汚泥法
    B 長時間エアレーション法
    C オキシデーションディッチ法
    D 回分式活性汚泥法

 

2)

 好気性微生物を砕石や板などに付着させた状態で用いて処理する方法(生物膜法)には、(1)散水ろ床法、(2)回転生物接触法、(3)接触及び(4)好気性微生物があります。
 現在、わが国の下水処理場では、処理効率の高い標準活性汚泥法が多く用いられており、町村などの規模の小さな下水処理場では、経費がかからず、管理が容易なオキシデーションディッチ法が多く用いられております。
 それでは、留萌市が採用している標準活性汚泥法の浄化センターには、どのような施設があり、どのような経路を経て下水がきれいになるのかなどを順を追って紹介します。
 下水処理場には、大きく分けて、下水をきれいな水に処理する水処理施設と下水をきれいな水にする過程で下水中から取り除いた、水を汚していた物質(汚泥)を処理する汚泥処理施設とがあります。中には、水処理施設・汚泥処理施設だけの下水処理場もあります。

(1)

水処理施設

   水処理施設は、次の図のようになっています。

 

 なお、人口の少ない市町村の小さな下水処理場で多く採用されているオキシデーションディッチ法では、最初沈殿池がなく、また、反応タンクの代わりにオキシデーションディッチと呼ばれる長円形の細長い溝があります。最終沈殿池と消毒設備は同じです。

 1)

 最初沈殿池

 

 下水処理場に到着した下水は、この池の中をゆっくりと静かに流れ、その間に、沈殿しやすい汚い物質を沈殿させます。この沈殿したものを沈殿汚泥といい、この汚泥は、汚泥かき寄せ機などで静かに集め、汚泥処理施設に送ります。また、沈殿汚泥を取り除いた下水は、反応タンクに送ります。

 2)

 反応タンク

 

 このタンクでは、最初沈殿池から流れてきた下水に、空気を送り込み、エアレーション(水槽にエアストーンを入れ、空気をブクブクさせるような状態に似ています。)により好気性微生物を繁殖させます。繁殖した好気性微生物は、下水中の有機物(水を汚している物質)を利用して凝集性のあるフロック(細かい綿のようなもの)を作ります。これが活性汚泥と呼ばれるものです。このフロックは、ますます下水中の有機物を吸着して分解していきます。それは、微生物が空気中の酸素を得て活発に活動し、下水中の有機物を食べて太り、大きな集団(フロック)になるようなイメージです。このタンクを6〜8時間程度かけて通過させた下水は、最終沈殿池に送ります。

 3)

 最終沈殿池

 

 反応タンクから流れてきた下水は、この池の中をゆっくりと流れます。この間に、反応タンクで大きなフロックとなった活性汚泥を沈殿させます。この活性汚泥を取り除き、汚れを90%以上なくした、きれいな水(上澄水といいます。)は、消毒設備に送ります。また、沈殿させた活性汚泥は、汚泥かき寄せ機などで静かに集め、その一部は、再び反応タンクで活躍してもらうため、反応タンクに返送汚泥として返送します。残りの活性汚泥は、余剰汚泥として汚泥処理施設に送ります。

 4)

 消毒設備

 

 この設備には、消毒に使われる塩素注入装置(消毒剤としては、次亜塩素酸ナトリウム溶液、液化塩素などが使用されています。)と接触タンクと呼ばれる池があり、最終沈殿池から流れてきた上澄水に消毒剤を接触させて消毒します。この消毒した水を処理水といい、留萌川に放流して自然に戻しています。大きい都市では工業用水や電車の洗浄水などとしても再利用しているまちもあります。
 市として、現在、処理水量が少ないですが、汚泥脱水機の洗浄や浄化センター内のパークゴルフ場の散水などに利用しています。

 

 以上の過程を経て得た処理水は、一般に二次処理水と呼ばれますが、近年、(1)処理水の放流水域の水質環境基準の達成維持、(2)閉鎖性水域の富栄養化防止、(3)処理水の再利用、C放流水域の利水対応などのため、この二次処理水の水質以上のものが求められるようになりました。これに応えるものが、高度処理と呼ばれるものです。

(2)汚泥処理施設

 一般的に、最初沈殿池及び最終沈殿池から発生した汚泥(99%程度が水分です。)は「汚泥濃縮タンク」に投入して重力などを利用して濃縮し、水分を抜いて体積を減少させ、この濃縮汚泥を「汚泥貯留タンク」に貯留します。
 さらに濃縮汚泥を「汚泥消化タンク」に投入し有機物を分解させて、汚泥を安定化させます。これを消化汚泥といいます。また、汚泥は、腐敗するとメタンガスが発生します。このガスは、消化ガスと呼ばれ、ボイラーの燃料にしたり、ガス発電に用いて下水処理場内の電力などとして、再利用されます。しかし、最近では、汚泥消化タンクを設置している下水処理場は、多くありません。
 下水処理場の多くは、貯留した濃縮汚泥を「汚泥脱水設備」で、さらに、直接、脱水します。消化汚泥の場合も同様です。規模の小さな下水処理場では、「汚泥乾燥床」を設けて、これに汚泥を薄く敷き延ばして乾燥させているところもあります。このように脱水した汚泥は、たいていの場合、板状をしています。これを脱水ケーキ又は脱水汚泥と呼びます。
 この脱水ケーキを農業や林業の肥料、土壌改良材などに用いる場合は、利用しやすいようにコンポスト設備を設けてコンポスト化します。脱水ケーキの状態で埋立て処分する場合もあります。また、さらに減量化する場合は、「汚泥焼却設備」で脱水ケーキを焼却します。焼却して灰となった汚泥は、焼却灰といいます。
 この焼却灰は、そのまま埋立て処分するか、セメントやセラミックパイプの原料の一部にしたり、さらに加工して、レンガ、タイル、建設用砕石、花びん、文鎮等に再利用されています。 今日の環境問題から、産業廃棄物処分場に対し法規制が厳しくなってきており、今日汚泥処分費が高騰してきているのが現状です。
 留萌市は、下水処理場で処理した汚泥を産業廃棄物処分場で埋立て処分しています。